集まる場所があることの大切さ。ボードゲームはその場所を楽しくする。

勝間田佑五さま
大学時代の出会いを経て友人とともに株式会社ゴッタニを設立。現在はプラントエンジニアリングの設計業務を兼業しながら、ボードゲームができるカフェを経営。設計業務にて培った考え方を活かして分かりやすさ、楽しさを追求したオリジナルボードゲームの作成を手掛けている。
誰もが直感で遊べるゲームをつくる。その挑戦の原点
――どのような経緯で会社設立に至ったのでしょうか。
勝間田さま:学生時代にMTG(マジック・ザ・ギャザリング)というカードゲームに熱中しておりまして、当時一緒にプレイしていた大学時代の友人(同社代表取締役:柳川一隆さま)と設立しました。
カードゲームやボードゲームといった遊びをするうえで、みんなで集まる場所が必要だということで、その延長線で気軽にボードゲームができるカフェを作ろうと思ったことがきっかけです。
――現在はどのような事業をされているのでしょうか。
勝間田さま:主にオリジナルボードゲームの開発・製造・販売、そして私たちの活動拠点にもなっているボードゲームカフェ「GOTTA2 CAFE(ゴッタニカフェ)」の運営になります。外部の会社様から委託していただいてボードゲームを作成することもあります。
――ボードゲームはどのようにして作られるのでしょうか。
勝間田さま:まずはアイデアから構想し、ゲームのルールを定めてからテストプレイを繰り返し行うことで余計なものを排除して、分かりやすいものにしてから具体的な商品化に入ります。
生産工場は主に中国で、私が細かい打ち合わせをしています。
――アイデアはどのようなところから生まれるのですか?
勝間田さま:本当の意味で一から作るのは難しいので、流行のゲームやテーマなどから着想を得ています。そこからボードゲームのギミック(たとえばすごろくやカードゲームの要素など)を2、3個掛け合わせることでゲーム自体の土台を作ります。
キャラクターのデザインや細かいストーリー設定はそのあとになります。

――作成するときのこだわりはありますか?
勝間田さま:誰にでもルールが分かるようなボードゲームにすることを心がけています。
たとえばゲームを始める前に複雑なルールを説明してしまうと、理解してもらうまでに時間がかかる場合や、初心者の方であれば「次も遊びたい」という気持ちを削がれてしまう場合もあります。そのため、ボードを広げてすぐに遊んでもらえるくらい簡単で楽しいルールにできるように努めています。
他にも、私たちがデザインしたゲームで使うカードなどは、文字の記載を最低限まで抑える工夫をしています。だれでも、一目で直感的に、そして気軽にゲームをプレイして欲しいという思いがあります。
――今まで作ってきたオリジナルゲームで、お気に入りの作品はありますか?
勝間田さま:「Where am I ? ~Alice in a Mad Tea Party~」というボードゲームです。
これは各プレイヤーが登場人物をそれぞれ推理し、豪華なティーパーティーをめざすというゲームなのですが、不思議の国のアリスがモデルになっていることもあり大変反響をいただいています。発売当時、人狼ゲームが流行っていたので、そこからも着想を得ています。
実際にゲームで使うティーカップなどの小物もおしゃれで、ボードゲームを知らない人でもつい手にとってしまうデザインかもしれません。
日本製ボードゲームを届けたい!20万人が集う世界最大級のマーケットへ。

――海外のボードゲーム展示会に出展されることもあるそうですが、どういった雰囲気がありますか?
勝間田さま:過去に台湾やイギリスに出展したことがありますが、中でもドイツのボードゲーム展示会(エッセン・シュピール)が世界的にとてもさかんです。
日本で行われるマーケットの来場者数は、昨年の秋に開催されたものは2日間で約3万人ほどでしたが、エッセン・シュピールの場合、昨年は4日間で約20万人を記録しました。
――なぜ海外ではボードゲーム展示会がさかんなのでしょうか?
勝間田さま:まず、国内外でボードゲームの競技人口自体に大きな差があります。
日本国内でボードゲームの競技人口を増やすにはマーケットに来てくださる方を増やし、よりたくさんの人に触れてもらうところから始めなければなりません。
また、海外ではマーケットのスケジュールの中にビジネスデーという企業向け展示会の枠組みがあり、自社のボードゲームを大手のおもちゃ会社やゲーム会社にアピールできる機会があります。
そこで日本製のボードゲームが注目されれば、日本国内のボードゲームの盛り上がりも増えると考えています。
――実際に海外のボードゲーム展示会に出展された際、オリジナルゲームへの反応はいかがでしたか?
勝間田さま:前述の「Where am I ? ~Alice in a Mad Tea Party~」というボードゲームはやはり多くの反響をいただきました。ヨーロッパ圏発祥のモチーフだったことが大きいと思います。
海外ではゲーム性のほかにも選んでいるモチーフや、パッケージデザイン、イラストによって好みが大きく分かれることが多々あります。たとえば、よくある日本のアニメーション作品のような画風でパッケージデザインを作成すると、意外なことにあまり海外では受けません。逆に、実写寄りのイラストの方が好まれたりします。
――これから海外へ向けて、どのようなアプローチをしていきたいですか?
勝間田さま:現在、海外のボードゲーム会社様と提携してインターネット販売も並行して行っていますが、まだまだできることはあると考えています。
ボードゲーム展示会では、実際に来場したお客さまがその場で遊んで気に入って購入してくださることも多いので、そこでいかに海外の人と多くのコミュニケーションをとって、より自分たちのボードゲームの魅力を伝えられるかが重要だと思っています。
数百種類のゲームと、多様なお客さまがつくる拠点 -カフェ-

――運営されている「GOTTA2 CAFE(ゴッタニカフェ)」ではどれくらいのボードゲームが遊べるのですか?
勝間田さま:作品自体の入れ替えや倉庫にしまってあるものも含めて、今の時点で800種類くらいです。日本製のボードゲームはもちろん、ボードゲーム展示会にて購入した海外製のボードゲームや私たちがオリジナルで作成・販売しているものも遊ぶことができます。
――どのようなお客さまがご来店されるのでしょうか?
勝間田さま:近くに大学があるため、学生のお客さまが多い印象ですね。平日の夜では、社会人のお客さまに会社帰りに立ち寄っていただくこともあります。
土曜日や日曜日はご友人同士や会社関係といった団体様の貸し切りで、レクリエーションにご利用いただいたりする需要も増えています。
――みなさま、やはりボードゲームを遊びに来られるのでしょうか?
勝間田さま:実はすべてのお客さまがボードゲームを目的として来店されるというわけではなく"場所"を求めてご来店される方もたくさんいらっしゃいますし、もちろんそういったお客さまも大歓迎です。というのも、私たちがカフェを運営するにあたっての出発点が「みんなで集まる場所を作りたい」という思いだったからです。
その"場所"を楽しいものにするコミュニケーションツールとしてボードゲームがあったら楽しいだろうな、と考えて運営をしています。
――印象的だったお客さまとの出会いはありますか。
勝間田さま:ボードゲーム目的としてではなく、「調べたら面白そうだったので来ました」という方も多くいらっしゃいます。そういうお客さまにはおすすめのボードゲームを紹介して、相席を了承していただける別のお客さまといっしょにゲームをプレイすることもあります。
初心者の方が実際にゲームをプレイして「楽しかった」「またやってみたい」と言っていただける瞬間が嬉しく、私たちがカフェを運営するやりがいになっています。
――カフェを運営するうえで、大変だったことはありますか。
勝間田さま:カフェ自体は2017年から営業を開始しているのですが、やはりコロナ禍を乗り切ることがとても大変でした。ボードゲームは直接対面して遊ぶ特性上、自粛中はできることが限られてしまいます。そういった理由からお客さまの来店が一時激減してしまいました。
近くの大学の学生さんにご来店いただき、そのつながりで多学年・他大学の学生さんにも利用していただいていたのですが、その循環が途切れてしまったことがとても大きかったです。
――そこから今日に至るまで大変だったのですね。
勝間田さま:まず、営業を開始してから常連のお客さまが定着し、安定するまでに3年はかかっています。そこからコロナ禍を経て、お客さまが普段どおりに来店していただけるようになるまで、同じか、あるいはそれよりも多くの年月を要しました。
現在はできる限り利用料をおさえて、長時間利用してもらえるように努めています。
ボードゲームと集まる場所が生み出す"つながり"

――現在はテレビゲームやオンラインゲームが幅広く普及しています。その中であえてボードゲームカフェを運営し続ける意義はどんなところにありますか?
勝間田さま:ボードゲームは対面で遊ぶため、その場所の雰囲気をリアルタイムで共有できる良さがあります。もちろんオンラインゲームも楽しいのですが、ボードゲームと違って同じ空間を共有することが難しいため、どうしてもコミュニケーションの質に差異が生じてしまいます。
向かい合って、相手の表情を見ながら、会話をしてゲームを楽しむ。その場で瞬時に生まれるコミュニケーションから生まれる喜びは他では得ることのできないものがあると、私たちは考えています。
――対面して遊ぶボードゲームならではの良さ、ということですね。
勝間田さま:ボードゲームの良い点は他にもあり、それは"直接触れる体験"であるということです。
多くのボードゲームは駒やカードなどを用いて遊びますが、そういったものに実際に触れて遊ぶことが、より充実した時間を過ごしたと思えるきっかけにもなると思っています。お子さんがものに触れて色々なことを感じ取るのと似ている気がしますね。
――確かに、子どもは色々なものに触れて学び、成長していきますよね。
勝間田さま:私たちのカフェでは、お子さんたちにボードゲームを楽しんでもらおうという思いから、近隣の飲食店と連携して地域貢献も行っています。いわば子ども食堂のような位置づけで食事と遊びを提供しています。
ほかにも4~5組の親子のお客さまが子ども会を開くために私たちのカフェを利用していただくなどお子さんのご利用も多く、ささやかながら教育の面でも役立てているのかなと感じています。
――親子で遊び、楽しくコミュニケーションをとることができるのもボードゲームの魅力。カフェに訪れるお客さまは年齢層も幅広いのですね。
勝間田さま:年齢層だけではなく、国籍をこえたお客さまもいらっしゃることがあります。
会話が出来なければコミュニケーションをとることは難しいと思われがちですが、ボードゲームではジェスチャーや簡単な単語を話すだけでルールを理解してもらえることが多いです。これは私たちがオリジナルで作成しているゲームが、文字の記載を最低限まで抑える工夫をしている理由につながってもいます。
そして私たちが考える「だれでも、一目で直感的に、そして気軽にゲームをプレイして欲しい」という思いにもつながっています。
――勝間田さまにとって、ボードゲームはどんな存在ですか?
勝間田さま:"人と人をつなぐためのコミュニケーションツール"です。少なくなりがちな日々の会話をボードゲームで遊ぶことによって楽しいものにする。
それは私たちの社是である「ゲームで作るより良いコミュニケーション」の実態であると考えています。ボードゲームはそのハブ(橋渡し)の役割を果たすものであってほしいと思っています。
――今後、勝間田さまが挑戦してみたいことや目標はありますか?
勝間田さま:何を始めるにしても、"集まる場所がある"というのが一番重要だと思っています。私たちでいえばカフェがそれにあたりますので、そこで定期的なイベントを開催し、より交流を深められる場所を作っていきたいと思っています。
また、先ほど教育関連のお話になりましたが、"触れて遊べるゲーム"として養護学校や高齢者向け施設へ向けたアプローチもできたらいいなと思っています。
そして世界中の人に遊んでもらえるように、より分かりやすく、そして楽しいボードゲームをこれからも作り続けていきたいと思います。
――最後に、この記事をご覧いただいているみなさまへのメッセージをお願いします。
勝間田さま:ボードゲームは、本当に色々な種類があって奥深い娯楽です。
複雑なルールというイメージが先行しがちで始めづらいというお声もいただくことがありますが、実はそんなに難しくないとお伝えしたいです。
パッケージデザインが気に入ったから、たまたま近くにあったから、どんな些細な理由からでもかまいません。家族でもいいですし、友達でもいいですし、会社でもいい。
何かしら交流がある場面で、賑やかしの目的で使っていただけるととても嬉しいです。
――勝間田様、本日はありがとうございました。












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