スイス旅行で知っておきたい物価・両替・現金の目安|山岳ガイドが観光スポットとあわせて解説
スイスのアルプスでは、雪解けを追いかけるように野生のクロッカス(アヤメ科)が咲き、春の訪れを知らせます。春先から黄色・ピンク・白などの鮮やかな山の花が咲き始め、7月下旬から8月にかけては青など濃い色の花が見頃を迎えます。8月15日を過ぎると山の様子が徐々に変わり、草も枯れ始めて秋の気配が感じられるようになります。
自然環境の厳しいアルプス山岳地帯では、春から夏の短い期間に一斉に花が咲く季節を迎えます。
スイスの概要
スイス最大の都市チューリッヒへは、東京から直行便で約13時間で到着します。
スイスはヨーロッパ中西部に位置し、北東にドイツ、東にリヒテンシュタインとオーストリア、南東にイタリア、北西にフランスと接する内陸国です。首都はベルン(Bern)で、旧市街は1983年にユネスコ世界文化遺産に登録されています。
最大の都市はチューリッヒ(Zürich)で、その他にも国際機関が多く集まるジュネーブ(Genève)やバーゼル(Basel)などの都市があります。
スイスの国土は以下のように構成されています。
- アルプス山脈:約58%
- スイス高原:約31%
- ジュラ山脈:約11%
スイス最高峰はモンテ・ローザ山群のデュフール峰で、標高4,634mです。モンテ・ローザはスイスとイタリアの国境にまたがる山群で、複数のピークから構成されています。その中で最も高いのがデュフール峰(Dufourspitze)です。ヨーロッパアルプスではモンブラン(4,810m)に次いで2番目の高さを誇ります。
スイスの面積は41,285km²で、日本の約11%ほどです。日本の内陸県である岐阜県・長野県・山梨県・群馬県・栃木県を合わせた面積(約41,458km²)とほぼ同じ規模です。あるいは九州(約36,782km²)よりやや大きい程度と考えるとイメージしやすいでしょう。
人口は約892万人で、そのうち約20%が外国人です。この外国人比率の高さもスイスの特徴のひとつです。
スイスには4つの公用語があります。
- ドイツ語(約62%)
- フランス語(約22%)
- イタリア語(約8%)
- ロマンシュ語(約0.5%)
観光地や大都市では英語も広く通じます。鉄道の券売機や駅の表示、ウェブサイトなども英語対応しており、主要駅では英語アナウンスも一般的です。
スイスフラン紙幣には4つの公用語すべてが印刷されています。硬貨などスペースの都合で表記できない場合はラテン語の「Confoederatio Helvetica」が使われます。車の国籍表示の「CH」もこの略称です。
スイスの気候

スイスの気候は、日本の北海道や軽井沢などの高原リゾートに近いイメージです。
夏(7〜8月)の気温はおおよそ18〜28度程度。日差しは強いものの、日本のような湿度は少なくカラッとしています。そのため、日陰では涼しく爽やかに感じることが多いです。
この気候のため、多くの民家やホテルには冷房設備がない場合もあります。
ただしスイスは小さな国土の中に標高差4,400mもの地形があるため、局地的な気候差が大きいのも特徴です。山岳地帯では同じ場所でも、夏は30度近くまで上がる日がある一方、冬は−25度になることもあります。
また、麓では湖で泳げるほど暑い日でも、標高3,000〜4,000m級の山頂は万年雪や氷河の世界です。山頂と麓では10〜30度ほどの温度差が生じることもあります。
スイスの季節の移り変わりは、日本と同様に春夏秋冬がはっきりしています。四季ごとに異なる美しい自然風景を楽しめます。
ただし、昼間が暖かくても朝晩は冷え込むため注意が必要です。フリースやウインドブレーカーなど、温度調整しやすい服装を用意すると安心です。
夏でも標高2,000m付近では雪が降ることもあるため、念のため手袋やマフラーなどの防寒具も準備しておくとよいでしょう。
スイスの時間帯は中央ヨーロッパ時間(CET)です。日本より8時間遅れになります。ただし3月最終日曜日〜10月最終日曜日はサマータイムとなり、日本との時差は7時間です。
スイスの物価
スイスの物価は、日本と比較して全体的に高いことで知られています。例えば、1スイスフラン=180円で計算すると次のようになります。
- ミネラルウォーター(500ml):約2.5フラン(約450円)
- スターバックス ラテ(トール):約7フラン(約1,260円)
昼食
- 食事:約30フラン(約5,400円)
- 飲み物:約7フラン(約1,260円)
→ 合計:約37フラン(約6,650円)
夕食
- 食事:約50フラン(約9,000円)
- 飲み物:約10フラン(約1,800円)
→ 合計:約60フラン(約10,800円)
日本では水が無料で出ることが多いですが、スイスでは水も含め飲み物は基本的に注文するのが一般的です。
外食が高いスイスでは、スーパーマーケットの利用もおすすめです。ツェルマットやグリンデルワルドなどの山岳観光地でも
- MIGROS
- COOP
といったスーパーがあります。地元産チーズ、生ハム、ヨーグルト、サラダ、果物、スイスワインなどを購入し、ホテルで軽く食事をするのも旅行の楽しみ方のひとつです。ピクニックランチにもおすすめです。
ただし、日本のような24時間営業のコンビニはほとんどありません。スーパーも営業時間が短く、日曜日は休業の店舗もあるため事前に確認しておきましょう。
なおスイスでは付加価値税(VAT/MwSt)がかかります。
- レストラン:8%
- 食料品(スーパー):2.5%
隣国ドイツのVAT(19%)と比較すると低いですが、それでも物価が高く感じる理由のひとつです。
スイスの物価が高い理由
スイスの物価が高い理由には主に以下の要因があります。
① 賃金が高い
スイスは世界でも賃金水準が非常に高い国です。例えばファーストフード店のアルバイトでも時給25CHF前後になることがあります。
1日7時間・月20日働くと約3,500CHFの収入になる計算です。
② 地理的要因
スイスは海に面していない内陸国です。そのため物資輸送やエネルギー供給にコストがかかります。
また永世中立国として「武装中立」を掲げており、国防費も一定程度必要になります。
③ 農業・環境政策
スイスは
- 食料安全保障
- 農村社会の維持
- 景観保護
を重視する農業政策をとっています。そのため
- 高い農業補助金
- 輸入制限
- 高関税
などが設定されており、これも物価を押し上げる要因となっています。
スイスフランの両替と現地での現金使用について
スイスの通貨はスイスフラン(CHF)です。両替は日本で済ませておくとスムーズです。残った現金は紙幣でしたらスイスフランから円へ再両替できますしコインでしたらスイスを出発する空港でコインとクレジットカードを併用し買い物しコインを使い切ることをおすすめします。
紙幣の種類
- 10フラン
- 20フラン
- 50フラン
- 100フラン
- 200フラン
- 1000フラン
硬貨の種類
- 5 / 10 / 20 ラッペン
- ½ / 1 / 2 / 5 フラン
カード決済は広く普及しており
- VISA
- MasterCard
- American Express
などが使えます。ただしカードの磁気不良や通信トラブルで使えないこともあるため、予備として現金を持っておくと安心です。
現金が必要になる場面
- 枕チップ(1泊1人1フラン程度)
- 駅の有料トイレ
- 小さな売店
レストランではサービス料が含まれているためチップは必須ではありません。ただしサービスが良かった場合は1〜5フラン程度渡すとスマートです。
カード払いの場合は「チップを含めた額」を口頭で伝えるのが一般的です。たとえば会計が27フランなら「30フランにしてください」といった形でチップ込みの金額を伝えます。
スイスの交通費
スイスは世界的に見ても物価が高い国で、Mercerの「世界生計費調査」ではチューリッヒが常に上位にランクインしています。
ヨーロッパの中でも特に生活コストが高い都市として知られていて、ホテルやレストランの価格はもちろんですが交通費も高いです。
そこでスイス国内を移動するにあたり各種お得なパスやチケットがあるので滞在日数や移動頻度によりお得なチケットを選ぶことが大切です。
スイストラベルパス
鉄道・バス・船が乗り放題のパスです。スイスを旅行する外国人用なのでスイス国内では購入できる場所が限られるため日本での購入をお勧めします。
例:
- 3日間:254フラン
- 4日間:309フラン
さらに
- 山岳鉄道:25〜50%割引
- 美術館:約500施設無料
などの特典があります。
スイスハーフフェアカード
移動が少ない滞在型(グリンデルワルドとツェルマットのみなど)の旅でしたら「スイスハーフフェアカード」も便利です。
料金:150フラン(1ヶ月)
鉄道・バス・船などが最大50%割引になります。(25%OFFの路線もあり)スイストラベルパスの無料区間ではない山岳鉄道を利用することが多い方におすすめです。
他にも地域のユングフラウVIPパス(3日間使用大人245フラン)やツェルマットピークパスなども各種あります。
タクシー料金(チューリッヒ)
タクシーは地域やタクシー会社によって料金の差はありますが、チューリッヒでのタクシーの初乗り料金は約5~6フランが目安です。その後1km走行するごとに約2フランずつ料金が加算されます。
スイス1日の予算目安
よくいただく質問が1日あたりの予算のことです。
旅行スタイルによって大きく異なりますが、目安としては、昼食と夕食で100フラン前後、チョコレートなどのお土産やカフェ休憩で50フラン前後、合計150フラン程度を見込んでおくと安心です。
スイスのおすすめ観光スポット

スイスは絶景の宝庫です。迫力ある山々と雄大な氷河があります。ぜひハイキングを楽しんでいただきたいです。歩くスピードだからこそ見えてくる風景や、高山植物との出会いがあります。
一方で、歩くことが苦手な方でも、展望台や登山鉄道、ロープウェーを利用すれば、アルプスの大景観を十分に楽しめるのもスイス観光の魅力です。
ただし、天候はいつも晴れているとは限りません。雨や雪が降ることもありますし、展望台に上がっても霧がかかって真っ白で景色が見えないこともあります。そんな時は、天候の影響を受けにくい都市観光に切り替えるのがおすすめです。
たとえば、世界文化遺産である首都ベルンの旧市街を歩くのもよいですし、アルプスを越えてイタリア側のドモドッソーラへ足を延ばすのも魅力的です。スイス国内から鉄道でアクセスでき、街並みや言葉、食文化の違いから「イタリアに来た」と実感できます。ドモドッソーラまではスイスパスが使える区間もあります。列車内でパスポートの提示を求められる場合があるため、持参を忘れないようにしてください。
ユングフラウヨッホ展望台
アルプス山脈に囲まれたユングフラウヨッホは、「ヨーロッパの屋根」と称されるスイス有数の展望地です。名峰ユングフラウ(乙女の意味)標高4107mとメンヒ(修道士の意味)標高4058mの間にある展望台からはアルプス最長のアレッチ氷河を望むことができます。
アレッチ氷河は全長約23km、最も厚いところでは約900mにもなり、2001年にはユネスコ世界自然遺産に登録されました。
注目すべきはヨーロッパで一番標高の高い場所にある線路を走る鉄道の旅を楽しめることです。約110年前に開通したユングフラウ鉄道を利用し、アイガーとメンヒの山中を通るトンネルを抜けて、ユングフラウヨッホ駅(標高3,454m)まで行くことができます。富士山でいう9合目にあたる高さです。
施設内には、日本の昭和時代の赤いポストが設置されています。これは1993年7月1日、日本、スイスとそれぞれが最も高いところに位置する富士山5合目簡易郵便局(標高2305m)とユングフラウ郵便局(標高3454m)が山岳郵便局提携を締結したことで置かれたものです。
この赤いポストは現在も実際に使われており、ここから日本の家族や友人に絵葉書を送る方も多くいます。売店では絵葉書や切手も販売され、ユングフラウヨッホの消印が押されます。
山歩きが好きな方には、夏でも氷河の上を歩けるスノーハイクもおすすめです。ユングフラウヨッホから片道1時間15分くらいの緩やかな登りとなります。登りきった場所にメンヒやユングフラウへ登る登山者が宿泊するメンヒスヨッホヒュッテ(標高3620m)が見えてきます。ここはメンヒやユングフラウを目指す登山者が宿泊する山小屋で、食事やケーキ、コーヒーを楽しみながら、氷河と雪山に囲まれた贅沢な時間を過ごせます。
眺望が素晴らしく岩と氷河、雪のある山々が聳えたち日本では見ることができないアルプスならではの景色があります。
ミューレン
ラウターブルンネン谷を見下ろす崖の上、標高1,650mに位置する人口約400人の小さな山村です。ガソリン車の乗り入れが禁止されているため、アルプスの素朴な雰囲気が今も色濃く残っています。伝統的なシャレー風の家並みと、窓辺を彩る花々が美しい村です。
交通手段のロープウェーは谷の底のシュテッヘルベルクからミューレンを経由し、ロープウェーを乗り継いでシルトホルン展望台(標高2970m)へと向かうことができます。
1969年のボンド映画007シリーズの第6作『女王陛下の007』はここで撮影されました。シルトホルン展望台・山頂には回転レストラン「ピッツグロリア」があり建物自体が太陽光発電の力でゆっくり回転するので、席に座ったまま360の景観を楽しむことができます。
シルトホルン展望台からはシャープな姿のアイガー、メンヒ、ユングフラウが眺められ天気次第で遠くはモンブランが見えることがあります。
村の中心からは、1912年開通の歴史あるケーブルカー(冬季休業)でアルメントフーベル(標高1,907m)へ行くこともできます。ミューレン村からだと手前にそびえるシュヴァルツメンヒ(黒メンヒ)に隠れてみえないユングフラウも含め、アイガー、メンヒ、ユングフラウの三名山がそろって楽しめる絶景スポットです。
周辺には高山植物が豊富で、夏には美しい花畑が広がります。花の谷と名付けられた「ブルーメンタール」や、ベルナー山群の絶景を望む「ノースフェイストレイル」など、魅力的なハイキングコースも整備されています。
途中には乳牛の放牧地や牛小屋があり、山とともに暮らしてきた人々の生活を感じることもできます。時期によっては、地元のチーズや鹿肉のサラミが販売されることもあります。なお、鹿肉サラミは検疫の都合で日本に持ち帰れないのでスイス滞在中にお召し上がりください。
ゴルナーグラート

アルピニズム黄金期を迎えた19世紀末の1898年に開通した登山鉄道です。マッタ―ホルンの麓ツェルマット村から高低差1469mを約40分でゴルナーグラート山稜にある展望台(標高3089m)へ向かいます。車窓からも名峰マッターホルン(標高4478m 荒野地の角の意味)を確認できます。
展望台からは約13キロのゴルナー氷河、フィンデルン氷河、スイス最高峰のデュフール峰(標高4634m)を抱くモンテ・ローザ(バラの山意味)から名峰マッターホルンまで4000m級の山々29座が連なる絶景を満喫できます。
ゴルナーグラート展望台には100年の歴史を誇る人気のホテル・レストランがあり世界中からの多くの人で賑わっています。ぜひ展望台ではゆっくりとコーヒーなど飲みながら4000m峰の絶景をゆっくりと楽しんでいただきたい場所です。
ベルン

ベルンは人口約14万人の都市でスイスの中央部に位置し1848年以来スイス連邦の首都になっています。チューリッヒ、ジュネーブ、バーゼルに次ぐ4番目に大きな都市です。
12世紀にアーレ川に囲まれた丘の上に都市が築かれ、その立地は今でも街の大きな特色となっています。夏には氷河の溶け水が流れ込むアーレ川で泳ぐ人達が多くいます。
人口14万人、首都・国会議事堂裏を流れる川で泳げる環境もスイスならではだと思います。町中には100以上の噴水が点在し赤茶色の石造りのアーケードや古い建物がそのまま残されています。こうした景観が評価され、1983年にはユネスコ世界遺産に登録されました。
中世の雰囲気を今に伝える重厚な石造りの建物には、特徴的なアーケード「ラウベン」が約6kmにわたって続いています。ヨーロッパ最長のショッピング・プロムナードとしても知られています。
建物の外観は昔ながらの姿を残しつつ、内装は現代風にアレンジされてカフェ、スーパーマーケット、レストランとさまざまな業種の店が軒を連ねています。雨の日でも濡れることなく歩けるのでお土産探しやウィンドウショッピングを満喫するのもいいかもしれません。
レマン湖湖畔(ラヴォー地区)
スイスワインはスイス国内消費率が約98%で、輸出量はわずか1〜2%しかありません。そのため日本では販売される機会が少なく「旅先でしか楽しめない特別なお酒」ともいえます。
ラヴォー地区はスイス有数のワインの産地として知られフランスとの国境に跨るスイス最大のレマン湖湖畔の丘陵地帯にあります。
斜面一面に段々畑のように広がる葡萄畑の景色はとても美しいです。スイスワインは、「3つの太陽」によって育まれると言われています。
『空に輝く太陽』と、それを受けた『レマン湖の太陽光反射』、そして『ブドウ畑の石垣が蓄えた輻射熱』です。こうした条件が、ワインづくりに適した温暖な環境を生み出しています。
天気次第ではレマン湖の対岸のフランチアルプスの山々が見えることもあります。
ラヴォー地区は、その景観の美しさだけでなく、長いワインづくりの伝統も評価され、ユネスコ世界文化遺産に登録されています。
現在の葡萄畑の始まりはこの地を修道院が支配していた11世紀頃に形成されたもので、約1000年をこえる長い時の中でかわることなく受け継がれています。ラヴォー・ワイン街道として整備されており葡萄畑の間をぬうように散策路を歩きながら、小さな可愛らしい村を訪れたりレストランで食事を楽しむのがおすすめです。
おすすめの料理がフィレ・ド・ペルシュ(Filet de Perche)です。主にスイスのフランス語圏の湖水地方で親しまれている白身魚料理で、淡水魚ペルシュ(英語でパーチ)を使ったフライやムニエルとして提供されます。
淡白な白身魚であっさりとしているので食べやすく人気があります。ぜひラヴォー地区のワインとフィレ・ド・ペルシュを召し上がっていただきたいです。
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